【借金】給料の差押えをされたら、自己破産で解決

質問:給料を差押えられたのですが、自己破産をすれば差し押さえを解除できますか?

 借金を返済せずにずっと放置していると、債権者から給料の差し押さえを受けてしまうことがあります。裁判所の差押命令が勤め先に届くことにより、原則として、給料の4分の1が差押えられてしまいます。しかも、その差押えは、借金を完済するまで続きます。

 毎月、給料の4分の1が差押えられてしまうと、他の債権者への借金返済もできなくなりますし、生活も苦しくなってしまう方もおられると思います。

 そのような方は、自己破産をすれば、以後の給料の差押えをされなくなります。
 ただし、自己破産の手続き(管財事件・同時廃止事件)によって効果が違いますので、ご注意ください。
 管財事件と同時廃止事件の違いは、【特集(自己破産)】(リンク)でご確認ください。

<管財事件>

1 給料差押えはいつから解除されますか?
 自己破産を申立ててから1~2週間後に、裁判所が破産手続開始決定を出します。
 その後、破産管財人が、差押命令を出した裁判所に、破産手続き開始決定がでていることを報告したら、給料差押えは失効します。
 失効後に支払われる給料から全額もらえるようになります。

2 自分で何かする必要はありますか?
 破産管財人が手続きをやってくれるので、自分ですることはありません。
 ただ、破産管財人には、給料を差し押さえられていることをお知らせしておいた方が良いでしょう。

3 破産手続き開始決定よりも前に支払われた給料は戻ってきますか?
 破産手続き開始決定よりも前に差押え命令に従って、勤め先が債権者に支払った給料の一部が戻ってくることはありません。

<同時廃止>

1 給料差押えはいつから解除されますか?
 自己破産を申立ててから約1か月後、裁判所が破産手続開始決定を出します。
 その後、ご自身か代理人が、破産手続き開始決定が出たことを、差押命令を出した裁判所に報告したら、給料の差押えは停止します。
 それから約2か月半後、免責許可決定が確定すれば、給料の差押えが失効することになります。法律上は、その間の給料の差押え分は会社が保管し、免責許可決定確定後にまとめてもらえることになっています。

2 自分で何かする必要はありますか?
 差押命令を出した裁判所に、自分で(又は自己破産を依頼した弁護士に頼んで)、破産手続き開始決定が出たことを報告する必要があります。

3 すでに差押えられてしまった給料は戻ってきますか?
 破産手続き開始決定よりも前に差押え命令に従って、勤め先が債権者に支払った給料の一部が戻ってくることはありません。

 

<管財事件と同時廃止事件での扱いの違い>

1 管財事件の方が破産手続き開始決定が早くでる可能性が高いです。
  ただ、管財事件の場合、同時廃止よりも(予納金)約22万円多くかかります。

2 管財事件の場合
 破産手続き開始決定がでた後、執行裁判所に報告すれば、次の給料から全額もらえるようになります。
  同時廃止事件の場合
 破産手続き開始決定後から免責許可決定(確定)までの間に支払われる給料は、いったん保留(供託)されてしまうので、免責許可決定(確定)まで減額された給料しかもらえません。但し、免責許可確定後、保留(供託)されていた間の給料を受け取ることができます。

 

<他の差押え手続きは?>

 預貯金の差押えの場合も、自己破産をすることによって、差押えの解除ができます。
 管財事件の場合は、破産管財人が自由財産として認める範囲で返還してくれます。
 同時廃止事件の場合は、免責許可決定確定後に戻ってくることになります。

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2016年06月10日