【相続】どのくらいの生命保険だったら特別受益に準じて遺産分割算定の際に考慮されてしまうのでしょうか【裁判例のご紹介】
質問:
夫が50代で亡くなりました。子供はいません。借家住まいです。
夫の遺産は500万円の現金しかありませんが、生命保険(2000万円)の受取人が私(妻)になっていました。
相続人は、私(法定相続分3分の2)と夫の母(法定相続分3分の1)です。
私は、遺産分割として、現金の3分の1(167万円)を夫の母に渡そうとしたところ、夫の母は、生命保険金が遺産よりも大きいので、それも遺産に準じて保険金の3分の1(667万円)を払うように求めてきました。
夫の母は、持ち家に住み、長女や二女と同居して生活面は安定しているのですが、私は、夫の母の言うとおりに払わないといけないのでしょうか。
1 原則
生命保険金は、受取人の固有の財産であり、遺産ではないことから、遺産分割の対象となりません。
死因贈与や遺贈にもならないので、遺産分割の各取得額を算定する際に、受取人が取得した保険金を考慮して計算することはしません。
2 例外
ただし、諸般の事情からみて、相続人間の不公平が看過できないほどに著しい場合には、受取人が取得した保険金を考慮して各自の取得額を算定することがあります。(最高裁平成16年10月29決定)
3 遺産の4倍の保険金は、相続人間の不公平が看過できない場合なのでしょうか。
広島高等裁判所令和4年2月25日決定では、次のように判断しました。
確かに、保険金額が遺産総額に対する割合は大きい。
しかし、夫婦が加入する生命保険としては高額とはいえない。
また、保険金は、借家住まいの妻の生活保障として掛けられていたと認められる。
他方、夫の母は、被相続人と長らく生計を別にし、持ち家に住み、長女や二女と一緒に暮らしていることからしても、夫の母の生活保障を優先する必要性が高いとはいえない。
質問の事例でも、妻が受取った生命保険を夫の母に分けたり、現金を法定相続分以上に渡す必要はないと思われます。
ただし、事例によっては、結論が変わる可能性もありますので、ご注意ください。

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