― 令和6年改正で整理される
3つの差押え類型と実務ポイント
により、養育費の強制執行は大きく
3つの類型に整理されます。本記事では、
法定養育費・先取特権による差押え・
従来どおりの通常執行という3類型の
違いと、手続の進め方、実務上の
留意点をわかりやすく整理します。
一般先取特権の基本
✅ 養育費の差押えが分かれる3類型と
その違い
✅ 債務名義がなくても差押えできる
ケースと提出書面
✅ 財産開示・情報取得など補助手続の
強化点
✅ 配当の二段構造など実務の留意点
道具立てが2つ新設されました。
子1人当たり月額2万円を
請求できる暫定的・補充的な制度です。
金額は法務省令で定められており、
当面は子1人月額2万円とされています。
付与するものです。その順位は
雇用関係の先取特権に次ぐ
第3順位とされました。
公正証書・調停調書・判決などの
債務名義がなくても、取り決めが
あれば「担保権の実行」として
強制執行が可能になる点にあります。
先取特権が及ぶのは、形成養育費
(合意・調停・審判で形成された
養育費)は子1人月額8万円まで、
法定養育費は子1人月額2万円まで
です。合意書記載の全額に先取特権が
及ぶわけではなく、これを超える
部分は従来どおり債務名義が必要です。
民法等の一部を改正する法律
(令和6年法律第33号)が
令和6年5月17日に成立、同月24日に
公布され、令和8年4月1日
(2026年4月1日)に施行されます。
法定養育費は、施行日前に離婚した
場合には適用されません(附則)。
次の3類型に整理できます。
| 項目 | ①法定養育費 | ②先取特権 | ③通常執行 |
|---|---|---|---|
| 根拠債権 | 法定養育費(766条の3) | 合意・調停・審判で形成 | 債務名義で形成 |
| 上限 | 子1人月2万円 | 子1人月8万円まで | 8万円超/全額 |
| 執行の性質 | 担保権の実行 | 担保権の実行 | 通常の強制執行 |
| 債務名義 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 提出書面 | 先取特権の存在を証する文書 | 同左(通常は合意書等) | 債務名義(公正証書・調停調書・判決等) |
取り決めがある事案なら、8万円分は
②(先取特権=合意書のみで可)、
残り2万円分は③(債務名義が必要)
というように、同一の養育費でも
分かれて処理されうる構造です。
「担保権の実行」として
行われます。担保権の存在を証明する
文書を執行裁判所に提出すれば、
債務名義がなくても申立てができます
(民事執行法193条1項)。
給与債権や預貯金の差押え(債権執行)
が典型的な対象です。
して何を出すかです。通常は協議
離婚時の合意書が想定されます。
法定養育費については、要件を満たせば
法律上当然に債権が発生するため、
子がいる状態での離婚の事実等を
示す資料が基礎となります。
(執行認諾文言付き公正証書、
調停調書、審判書、判決等)に基づき、
執行文等を備えて債権差押命令を
申し立てます。
備え、財産開示手続や
第三者からの情報取得手続が
使えます。改正でこれらの実効性が
強化されました。
虚偽陳述をした場合等には
刑事罰(6か月以下の拘禁刑
又は50万円以下の罰金)が
科されます。
8万円部分は優先、
8万円超部分は一般債権となります。
通常執行で全額を差し押さえた場合に
8万円部分の先取特権優先をどう
主張するかは配当実務として未確定で、
安全策としては担保権実行を
別に立てる方が確実です。
執行裁判所が必要と認めれば
債務者審尋が入りうるため
(改正民執法193条3項)、同時に
申し立てても発令時期が揃わない
可能性があります。
手続でも給与は原則
2分の1まで差押え可能です
(民執152条3項)。
債務者の意思を反映した有効なもの
である必要があります。可能なら
公正証書化しておくと
②③双方で安全です。
運用例がまだありません。
担保権実行と通常執行の併合可否や、
配当での優先主張の方法は、施行後の
各執行裁判所の取扱いを確認しながら
設計する必要があります。
法定養育費と一般先取特権が
新設される(令和8年4月1日施行)。
📌 強制執行は①法定養育費・
②先取特権・③通常執行の3類型に
整理され、上限額で処理が分かれる。
📌 ①②は債務名義がなくても
担保権実行として差押えが可能。
③は従来どおり債務名義が必要。
📌 配当の二段構造や同時申立ての
可否など未確定論点が残るため、
施行後の運用確認が欠かせない。
向けて実務を大きく前進させる
ものです。3類型の違いと上限額を
踏まえ、事案に応じた回収戦略を
組み立てることが重要になります。
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