白山・野々市法律事務所には、相続(遺産分割、遺言、遺留分、特別受益、寄与分等)で悩まれている方が多くご相談にいらしております。
相続に関するよくある質問&回答をご覧になりたい方は、次の①~⑲をクリックしてください。
① 相続の相談に行く前の準備
質問:弁護士に相続の相談に行くときに、どんな準備をしたら良いですか?
回答:簡単な親族関係図、遺産内容の分かるメモ、遺言書の写しがあればご持参ください。
①親族関係図
「親族関係図」とは、被相続人(亡くなられた方)から見て、配偶者、子ども、直系尊属(祖父母等)、孫、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子ども(甥・姪)などを書いたものです。決まった書式はないので、簡単に親族関係が分かるように書いてきてください。
誰が相続人かを確かめるために使います。
②遺産内容のメモ
「遺産内容のメモ」とは、亡くなった方の財産を列挙したものです。例えば、「不動産」、「預貯金」、「株式」、「生命保険」、「動産」、「投資信託」、「現金」などです。また、亡くなった方の借金や保証債務なども書き出してきてください。
③遺言書
「公正証書遺言」の謄本をお持ちでしたら、必ずご持参ください。
「自筆遺言」もご持参いただきたいのですが、未開封のものは開封しないように気をつけてください。
白山・野々市法律事務所では、相続のお悩みについて、無料で法律相談を受けることができます。ご予約は、電話(076-259-5930)でお取りください。
② 弁護士費用(相続)
質問:弁護士に遺言書作成、遺言執行者又は遺産分割調停を頼む場合の料金はいくらですか?
回答:弁護士費用は、相続人間で争いがあるかどうかで変わりますが、白山・野々市法律事務所では、『相続にかかる料金(PDF)』を分かりやすく表にしました。
詳しい料金は、『料金のページ』をご覧ください。
①遺産分割の交渉や調停など
遺産総額3000万円以下で、調停で合意できる場合、着手金は30万円(税抜)、報酬は相続できた財産(評価額)の約15%(税抜)です。
これ以外に、戸籍等の取寄せ費用等がかかります。
②相続放棄
相続放棄をする相続人1人につき、手数料5万円(税抜)です。
これ以外に、戸籍等の取寄せ費用や裁判所への印紙代等がかかります。
③遺言執行者の選任(遺言にによる選任)
遺言で、遺言どおりの遺産執行をしてもらうために、遺言執行者を選任しておくことができます。相続人以外の甥や姪に遺贈を考えている方や死後に不動産の売却代金を相続人に分配しようと考えている方などは、遺言とともに遺言執行者の指定も併せてご検討ください。
費用は、遺産額の2.1%(税抜)です。ただし、最低額は30万円(税抜)、最高額は150万円です。
相続に関して弁護士を敬遠せずに、「料金表」をみて安心してご依頼ください。
白山・野々市法律事務所では、相続のお悩みについて、無料で法律相談を受けることができます。ご予約は、電話(076-259-5930)でお取りください。
③ 遺言書を書く必要はあるの?
質問:誰でも遺言書を書かないといけないのでしょうか?
回答:誰でも遺言を書くように勧めるわけではありません。
例えば、相続人が子ども1人である場合や、配偶者と子ども1人しかいない場合には、相続争いが起こる可能性がほとんどないので、遺言の必要性は極めて低いでしょう。
逆に、以下の場合には、遺言書を書くことをお勧めしています。
①子どもがいない夫婦
②内縁の夫婦
③相続人がいない場合
④相続人のうち1名以上が行方不明の場合
⑤子の1人が親と同居している場合
⑥再婚や養子がからむ場合
これらの場合には、遺言がなければトラブルを招く可能性が大きいです。
遺言の必要性は、遺言者の家族の事情によっても左右されますので、健康診断を受けるつもりで、一度、弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
白山・野々市法律事務所では、相続のお悩みについて、無料で法律相談を受けることができます。ご予約は、電話(076-259-5930)でお取りください。
④ 親に遺言を書いてもらう方法
質問:3人兄弟の末っ子で、父が亡くなってから高齢の母と同居しています。母が亡くなった後、家に住み続けたいので、母に遺言書を書いてもらいたいのですが、どのように頼めば良いでしょうか?
回答:遺言書を書くか、書かないかはお母さんの自由なので、強制することはできません。お母さんの立場にたって、お母さんが不安を感じないで済むように配慮してお願いするしかありません。
高齢になると、身体が思うように動かなくなり将来に不安を感じだします。頼りになるのは、お金や財産しかないと考え、遺言を書いたら用済みになってしまい、誰からも相手されないと考えてしまうこともあります。
お母様の気持ちを理解しないまま、いきなり遺言書の作成を頼んでも、お母様は言うことを聞いてくれないでしょう。
そこで、4つの視点を意識しながら頼んでみてはいかがでしょうか。
① お母さんが元気なときに遺言書を書くように頼む。
お母さんがまだ元気で不安を感じていないうちに、遺言書を書くように頼んだ方が良いでしょう。
② 遺言を残す具体的な必要性について理解してもらう。
お母さんに、遺産を巡って兄弟げんかをしたくない、この家に住み続けたいなど、遺言を書いてもらう必要があることを説明した方が良いでしょう。
③ お母さんの漠然とした不安を取り除いてあげる。
遺言を書いてほしいというと「私が死ぬのを期待しているのか」と思われる可能性はあります。
遺言書を書いても、天寿を全うするまで子供たちに面倒をみてもらえるのだと安心してもらうことが重要です。
たとえば、お母さんの通帳を家計と区別して管理したり、預貯金の通帳を見せて適切に管理していることの説明をした方が良いです。
④ お母さんの財産を狙っているという誤解を招かないように注意する
遺言書の作成を頼むとしても、内容はお母さんの自由意思に任せ、いちいち指示したり、内容を尋ねたりしないことです。もし可能であるならば、市役所等の無料法律相談に行ってもらい、お母さんが遺言の内容についてアドバイスをうけられるようにしてもらうと良いです。
白山・野々市法律事務所では、相続のお悩みについて、無料で法律相談を受けることができます。ご予約は、電話(076-259-5930)でお取りください。
⑤ 身よりがない場合
質問:私は独身で身よりはいません。もし、このまま亡くなった場合、身の回りの片付けなどはどうしたらいいでしょうか?
回答
全く身寄りがいない場合、死後、そのままでは遺産を処分できなくなります。たとえば、大家さんは遺品を処分したくても勝手に行えず、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立てなければならなくなります。かなりの迷惑をかけることになります。
このような場合、できる限り遺言執行者を指定した遺言を残されることをお勧めします。
財産を残したいという親しい方がいる場合にその方に遺贈する内容の遺言を、大学や福祉施設に寄付したいと思われる場合はそこに遺贈する内容の遺言を書かなければ、遺産は最終的に国庫に帰属してしまいます。
白山・野々市法律事務所では、相続のお悩みについて、無料で法律相談を受けることができます。ご予約は、電話(076-259-5930)でお取りください。
⑥ 遺産分割協議のタイミング
質問:父が亡くなり49日が過ぎたのですが、父と同居していた兄からは遺産について何も言ってきません。自分から話し合いを求めて良いのでしょうか?父が亡くなったばかりで早すぎないでしょうか?
回答:早めに遺産分割協議を始めた方が良いです。
なお、遺産分割は、地方により、遺産分け、財産分け、財産分与と言ったりするそうですが、遺産分割であることは変わりません。
補足
1 遺産分割協議のタイミング
初7日は故人が三途の川のほとりに到着する日、49日は故人の来世が決まる日とされ、49日までが忌中とされています。したがって、通夜や葬儀の場で遺産の話をするのは早いかもしれませんが、49日が明けて遺産分割協議の話し合いを求めるのは、けっしておかしくありません。
2 相続税の申告期限までに遺産分割しないといけないのか?
相続開始後10カ月が相続税の申告期限です。
良くある話としては、9ヶ月目くらいに、兄から何の説明もなく遺産分割協議書が送りつけられてきて、署名・捺印(実印)と印鑑証明書の交付を求められることがあります。兄に電話をすると「税理士に相談したら莫大な相続税がかかることが分かったので、仮のものとして遺産分割協議書に署名・捺印してくれ」と言われるそうです。
しかし、この兄の話は、本当でしょうか?
相続税の申告納付期限までに遺産分割協議がまとまらなければ、未分割として相続税申告をすれば足ります。
いったん相続税を納めても、3年以内に遺産分割をして修正申告をしたら、各種特例(配偶者の税額軽減、小規宅地の特例など)の適用があり、払い過ぎていた場合、還付を受けることができます。
もし、兄の話を信じて遺産分割協議書を作成してしまうとどうなるのでしょうか。
おそらく、兄は遺産分割のやり直しを拒絶するでしょうし、裁判になっても遺産分割のやり直しは認められない可能性が高いと思われます。
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⑦ 遺産分割協議書の作成
質問:兄弟間で遺産の分け方について話がまとまりそうなのですが、事前に、遺産分割協議書を弁護士にチェックしてもらった方が良いでしょうか?
回答
遺産分割協議書は正確に作成しないと、後日の紛争につながりかねません。弁護士に相談することをお勧めします。
なお、遺産分割は、地方により、遺産分け、財産分け、財産分与などと言うところがあるようですが、遺産分割であることには変わりありません。
補足
1 不動産がある場合
遺産の中に不動産がある場合は、遺産分割協議書を証明資料(相続を証する書面)として、所有権移転登記をすることができます。ただし、相続人全員の実印が押されていなかったり、印鑑証明書を添付されていなかったり、不動産の記載に誤りがある場合には、登記できないことになりますので、弁護士か司法書士に相談されるべきです。
2 節税と権利
税理士や公認会計士に相談して遺産分割協議書を作成した場合、節税のために、兄が土地の名義を、弟が建物の名義を相続するような内容になっているものがあります。兄と弟が今後も仲良ければよいのですが、将来兄弟げんかをした際、「出ていけ」「出ていかない」というトラブルに発展することもあります。税理士等に相談して遺産分割協議書を作成する場合も、将来のトラブル予防のために弁護士に内容を確認してもらった方が良いでしょう。
3 新たな財産が見つかった場合に備えて
遺産分割協議書を作成した後に、新たな遺産が見つかった場合、結構、遺産分割に不満を残した相続人が騒ぎ出し、相続人の間でトラブルになることが多いです。
その場合に備えて、遺産分割協議書には、「本書記載の遺産以外の財産が見つかった場合は、妻Aがそのすべてを取得する。」というような条項を設けると良いでしょう。
このようなトラブルを未然に防ぐ工夫を弁護士は多く知ってます。遺産分割協議書を作成する際には、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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⑧ 不動産の遺産分割方法
質問:父が亡くなって、相続人は兄と私だけです。遺産は父名義の自宅だけですが、私は住んでいるので手放したくありません。不動産を遺産分割で分ける場合、どのような方法がありますか。
回答
不動産の遺産分割の場合、現物分割、代償分割、換価分割といった方法があり、どの方法を選ぶかは相続人間で決められます。また、遺言によって指定しておくこともできます。
なお、遺産分割は、財産分けや財産分与や遺産分けといった言葉を使う地域もあるようですが、遺産分割であることには変わりありません。
補足
1 現物分割
現物分割とは、遺産をそのままの形で分割する方法です。
たとえば、兄が土地を取得し弟が建物を取得したり、土地建物の2分の1ずつを兄と弟で共有するというようなものです。
ただし、このような遺産分割は、将来兄弟げんかでもした場合、「土地から出ていけ」「地代を払え」と言ったトラブルを招くことになりかねません。
現物分割は、たとえば、不動産が複数ある場合、つまり、複数の田畑があり田んぼは兄が、畑は弟が取得するというような場合に適している分割方法であると思われます。
2 代償分割
代償分割とは、遺産の現物を取得した相続人が、取得しなかった相続人に対して相続分に対応する金銭(代償金)等を支払う方法です。遺産の不動産が少ない場合に良く用いられています。
たとえば、弟が自宅を相続し、兄に自宅の評価額の半分を支払うという方法をとることで、弟は自宅を手放さなくてすみます。
ただし、代償金が必要となりますので、お金が用意できなければこの方法をとることは難しいことになります。
3 換価分割
換価分割とは、遺産を売却して金銭に換え、その代金を相続人が分割して取得する方法です。
この方法であれば、売ったお金を相続分に応じて分けるだけなので、遺産分割は比較的スムーズに行くことが多いです。
しかし、実際に住んでいる相続人がいる場合、なかなか売却するという話がまとまることはありません。とはいえ、遺産分割協議でまとまらず、遺産分割調停でまとまらずに、遺産分割審判手続きに移行した場合には、最終的に、否応なく審判で自宅の競売が命じられることになります。
どこまでも自分の要求を通すことは得策ではありません。自宅以外に遺産がなく、代償金の支払いも困難であれば、やむえず自宅(遺産)を売却し換価分割を選ぶのが賢明といえるのではないでしょうか。
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⑨ 妻と未成年の子が相続人である場合の注意点
質問:妻と未成年の子が相続人である場合には、何か注意すべきことはありますか?
回答
相続を受ける対象である妻が、未成年の子の法定代理人として、その子の取り分を決める遺産分割手続きに参加した場合、妻の取り分を不当に多くしたり、子の取り分を不当に少なくしたりする可能性があります(お手盛りの危険)。
そこで、未成年の子とその法定代理人である被相続人の妻がともに相続人である場合は、家庭裁判所に対して、「特別代理人」(親権者に代わって未成年者を代理する人)の選任の申立てをする必要があります。
また、未成年の子が2人以上いる場合は、それぞれに特別代理人が必要となります。
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⑩ 行方不明の相続人がいる場合
質問:兄は5年前から行方不明で、全くの音信不通です。こんな場合に親が亡くなるとどうなるのでしょうか。
回答
不在者財産管理人の選任を申し立てて遺産分割協議をすることになります。
不在者財産管理人の制度はあまり使い勝手は良くないので、親には遺言書を書いておいてもらうべきです。
補足
1 不在者財産管理人
不在者財産管理人とは、従来の住所等を去った人が財産の管理人もおかずに行方不明の場合、利害関係人からの申立てによって家庭裁判所が選任する管理人のことです(民法25条)。不在者財産管理人は、不在者の代理人として遺産分割協議に参加することができます。
2 不在者財産管理人の選任の申立て
裁判所に申し立てをする必要があります。
また、申立費用とは別に、20万円から30万円程度のお金を裁判所に預けなければいけません。このお金は、不在者財産管理人の活動費用として使われ、余りがあれば返却されます。
3 不在者財産管理人との遺産分割協議
不在者財産管理人と遺産分割協議をした場合、ほぼ法定相続分に従った遺産分割をすることになります。仮に、身内や友人が不在者財産管理人になったとしても、遺産分割協議書に署名・押印をする際には裁判所の許可が必要であり、不在者が不利になるような遺産分割はできません。
したがって、不在者財産管理人が選任されても、家族が望むような遺産分割ができるとは限らないのです。
4 遺言の活用
行方不明や音信不通の法定相続人がいる場合は、ぜひご両親に遺言を残すよう頼んでおくべきです。
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⑪ 母が認知症の場合の遺産分割
質問:父が亡くなり、母が認知症なのですが、母を交えて遺産分割協議をやっても大丈夫でしょうか。
回答
判断能力が十分でない場合、遺産分割協議がまとまっても無効になるおそれがあります。
無効にならないためには、成年後見制度を利用するしかありません。
「成年後見制度」には、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の三つの類型があります。
その制度により、選任された成年後見人、保佐人、補助人がその相続人に代わって、遺産分割に参加することになります。
ただし、保佐人や補助人が遺産分割の調停や協議を行うためには、遺産分割の調停や協議をすることについて代理権を与える旨の審判を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
⑫ 遺産分割調停はどこの裁判所でやるの?
質問:東京に住んでいた父が亡くなりました。兄は福岡、姉は仙台、私は金沢に住んでいます。遺産分割調停は、東京の裁判所に申し立てなければならないのでしょうか?
回答
被相続人の最後の住所地が東京であっても、東京の裁判所に申し立てなければいけないわけではなく、相手方となる兄や姉の住所地にある裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
たとえば、姉とだけ意見が対立している場合には、姉に無用な反感を抱かせないために、仙台の裁判所に申し立てるといったことができます。
また、兄弟姉妹で合意すれば、誰も住んでいない土地の裁判所に申し立てることもできます。
例えば、兄弟姉妹がもっとも集まりやすい場所が名古屋であるとすれば、名古屋の裁判所に申し立てることも可能ということです。
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⑬ 遺産分割調停を円滑に進めるために
⑭ 遺産は不要!遺産分割協議から抜けたい場合
質問:兄と姉が遺産分割をめぐって大ゲンカをしています。私は遺産なんていらないから、遺産分割協議から抜けたいです。どういう方法がありますか。
回答
相続放棄をするか、相続分の譲渡をするか、相続分の放棄をすることで、遺産分割協議や遺産分割調停手続きから抜けることができます。
補足
1 相続放棄
「相続放棄の申述」(民法915条)、いわゆる「相続放棄」が一番の方法です。
ただし、相続放棄の申述には期間制限があるので、期間を経過している場合には、次の方法があります。
2 相続分の譲渡
「相続分の譲渡」とは、自分の相続分を他の相続人に譲ることです。
相続分の譲渡は、譲る人と受け取る人との譲渡契約になりますので、2者の署名・押印が必要になります。
3 相続分の放棄
「相続分の放棄」は、契約ではなく放棄する人の一方的な意思表示でできるものです。
相続分の放棄は、放棄する人の署名・押印だけでできます。
ただし、相続放棄とは異なり、相続債務(借金)は相続することになるので注意してください。
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⑮ 調停で話し合いがまとまらないとき
⑯ 特別受益
質問:私の弟は父から飲食店の開店資金として1000万円を出してもらっています。私はサラリーマンで父から援助を受けたことは一度もありません。これは特別受益として考慮されないのでしょうか。
回答
1 特別受益
相続人の中に、被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいる場合、その受けた利益のことを「特別受益」といいます。特別受益を受けた相続人は、相続分の前払いを受けたとして、取り分が減らされたり、なくなったりします。
質問の場合、特別受益として考慮される可能性が高いと思われます。
2 贈与の場合
遺産分割で考慮される「贈与」は、相続人に対する贈与のみです。
兄嫁や孫に贈与があったとしても、原則として特別受益になりません。
3 特別受益に主張の仕方
①誰の誰に対する特別受益であるか
②どのような内容であるか(贈与の時期、贈与額等)
③裏付け資料(証拠)をつける
必要があります。
なお、何も資料が出せない場合、特別受益が認められない可能性が高いです。
4 弁護士に相談を
何が特別受益に当たるのか、特別受益があった場合の相続分はいくらなのかなどは、弁護士に聞いていただくのか一番です。
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⑰ 寄与分
質問:父が脳梗塞になってから10年間、私が家業の八百屋を切り盛りしてきました。父がなくなった場合、遺産の分け方において、私の貢献に対する配慮はありますか?
回答
1 寄与分
相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加に特別の貢献をした人がいる場合、遺産分割において、その人の貢献の度合い(寄与分)に応じて、その人の相続分を増やして、具体的な相続分を算定する場合があります。
2 貢献の内容
①被相続人の事業に関する労務の提供(家事従事型)
②財産上の給付(金銭出資型)
③被相続人の療養看護(療養看護型)
3 寄与分が認められる条件
寄与分が認められるためには、親族間において通常期待される程度を超えた貢献が必要です。単に、他の相続人と比べて貢献の度合いが大きいというだけでは寄与分にはなりません。
条件をまとめると、次のとおりになります。
①特別の寄与であること
②財産の維持又は増加と因果関係があること
③寄与行為に対し対価を受けていないこと
④相続開始までの寄与であること
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⑱ 借金の行方
質問:父には200万円の借金があります。子は兄と私の二人ですが、借金はどうなるのでしょうか。兄と私との話し合いで、風来坊の兄が借金を全額相続することは可能でしょうか。
回答
1 分割債務の原則
借金は相続分に応じて分割して承継されます。
つまり、父の200万円の借金は、兄が100万円、弟が100万円を相続することになります。
2 兄が全額引き受けることはできるか。
債権者との関係では効力がありません。
債権者からすれば、風来坊の兄が200万円の借金を引き受けた場合、取り立てができなくなる可能性が高いのでそのような引き継ぎには納得がいかないでしょう。
したがって、相続人の間で、借金を誰が引き受けるか決めても、債権者は兄に100万円、弟に100万円を請求できるようになっています。
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⑲ 相続放棄
質問:父が死んだと聞いて2カ月が経ちました。父は10年間音信不通だったのですが、どうやら借金が結構あるようです。借金を相続したくないのですが、どうしたら良いですか。
回答
父が死んだことを知ってから3カ月以内に相続放棄の手続きをしたら、借金を相続しなくて済みます。
ただし、父に預貯金や不動産の財産があっても相続できなくなります。
また、相続放棄の前に、父の不動産の名義を変更したりすると相続放棄ができなくなりますので注意してください。
補足
1 相続放棄
相続放棄をすれば、もともと相続人ではなかったことになり、借金を引き継ぐことはありません。
相続放棄は、被相続人の死亡を知った日から3カ月以内にしないといけません。ただし、3カ月以上経過してしまった場合も、相続放棄の申述を受理してもらえる場合がありますので、弁護士にご相談ください。
2 相続放棄の影響
あなたが、相続放棄をすれば、あなたは父の相続人にはならず、あなたの子供も代襲相続はしないので、子供は相続放棄をしなくても借金を引き継ぐことはありません。
ただ、母や兄弟がいる場合、相続放棄を検討するように連絡すべきでしょう。
また、相続放棄をしていくごとに、次順位の相続人が相続放棄をしなければならなくなります。祖父母、叔父叔母、叔父叔母が死亡している場合はその子にも相続放棄の必要性がでてきますので、注意しておいてください。
詳しい手続きについては、白山・野々市法律事務所にご相談ください。
白山・野々市法律事務所での相談をご希望の方は、電話(076-259-5930)からご予約をおとりください。
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